LGBTのための信託契約って何?
LGBT信託とは、LGBT当事者や同性パートナー同士が、財産管理や承継を安心して行えるように設計された信託契約のことです。
日本では現在も同性婚が法的に認められていないため、長年生活を共にしていても、法的には「他人」と見なされることがあります。そのため、例えば一方が亡くなった際に財産を受け取れなかったり、医療・介護の場面で適切な判断権限を持てなかったりといった課題が生じます。
こうしたリスクに備えるため、信託契約を活用して、
- 財産をパートナーのために管理・運用する
- 本人死亡後、パートナーへ財産を円滑に引き継ぐ
- 必要に応じて医療や介護に関する委任契約も組み合わせる
といった設計を行うのがLGBT信託の特徴です。
この仕組みにより、当事者は自身の意志を確実に反映させつつ、パートナーの生活を守ることが可能になります。
また、例えば、自分が所有している賃貸アパートなどの収益物件について、信託契約を活用すれば、次のような設計が可能です。
- まず、自分(委託者兼第一次受益者)が、生前は賃料収入を受け取ります。
- 自分が亡くなった後は、パートナー(第二次受益者)が賃料収入を受け取ります。
- そしてパートナーも亡くなった場合には、信託を終了させ、残った信託財産(不動産や資金など)を自分の親族に帰属させるように指定できます。
このように、受益権を段階的に移転させながら、最終的には自分の希望する親族へ財産を承継するという柔軟な設計ができるのが、信託の大きなメリットです。
遺言だけでは難しい、**「生前 → パートナー → 親族」**という流れを、信託なら確実にコントロールできます。