はじめに:死後のことを考えるのは、縁起でもない?
「自分が亡くなったあとのことなんて、考えたくないですよね。」
そう言いながら、Tさん(70代・女性)は少し笑って話し始めました。
長年ひとりで暮らし、近くに親戚もいない。そんな中で体調を崩したことがきっかけで、ふと「自分が亡くなったあと、誰が片づけてくれるんだろう」と思ったそうです。
生前整理や遺言よりも前に、「自分の死後の手続き」をきちんと任せておきたい。
そうしてご相談いただいたのが、死後事務委任契約でした。
ご相談内容:亡くなったあと、何も頼める人がいない
Tさんはご主人を早くに亡くし、お子さんもいません。兄弟姉妹も遠方で、今は年賀状のやりとり程度。
「いざという時にお願いできる人がいない」という不安を抱えていました。
具体的には、こんな心配がありました。
- 自分が亡くなったあと、葬儀や納骨をどうするか
- 役所への届出や、病院・施設への支払い
- 部屋の片づけや、家財の処分
- 銀行口座の解約や公共料金の精算
「生きている間のことは何とかなる。でも、亡くなったあとはどうしようもない。そこをきちんと決めておきたいんです。」
提案した方法:死後事務委任契約と公正証書遺言の併用
司法書士がご提案したのは、死後事務委任契約と公正証書遺言を組み合わせる方法でした。
死後事務委任契約とは、生前に「亡くなったあとの事務手続きをお願いする人(受任者)」を決めておく契約です。
この契約により、葬儀・納骨・役所の届出・公共料金の精算などを、確実に行ってもらえます。
Tさんの場合は、信頼できる知人を受任者に指定し、
その方が負担にならないよう、契約書の中で必要な費用を明記しました。
さらに遺言書では、残った財産の整理方法を定めておくことで、よりスムーズな流れを整えました。
契約を終えたあとの言葉:「これでやっと安心して眠れます」
公証役場での契約を終えたあと、Tさんはほっとした表情でこうおっしゃいました。
「死後のことを考えるなんて怖かったけど、終えてみたら気持ちが軽くなりました。
これで、心残りなく毎日を大切にできますね。」
契約書の束を見つめながら、少し照れくさそうに笑うTさん。
“死後の準備”は、決して暗い話ではなく、生き方を整える手続きなんだと改めて感じました。
※本記事は、同様のご相談をもとに再構成したフィクションです。実在の方の事例ではありません
司法書士より
死後事務委任契約は、「おひとりさま」「ご夫婦二人暮らし」「子どもに負担をかけたくない」という方々に広く活用されています。
葬儀や手続きの流れを、信頼できる人にあらかじめ託しておくことで、残される人にも自分自身にも安心が生まれます。
元気なうちにこそ、冷静に考え、形にできる契約です。
もし同じような不安をお持ちでしたら、どうぞお気軽にご相談ください。
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